世界のむこう側へ

ほぼ失敗ばかりだけど、いろいろ実験しながら次世代のインターフェイスを探す旅をしています。

LeapMindのコア技術をオープンソース化します

本日、LeapMindが保有するコア技術をオープンソース化することを発表します

 

このコア技術は、組込み向け用の極小量子化ディープラーニングモデルの設計・構築から、最適化されたハードウェア実装に必要な回路の合成に至る一連のフローを専門的な知識なしにシームレスに実現可能な組込みディープラーニングモデル構築スイートになります

 

名前は「Blueoil」です

 

名前の由来は、ロシアの作家ウラジーミル ソローキン(Владимир Георгиевич Сорокин)の「青い脂」という作品から由来してます

 

なぜこの名前に至ったのかというと、

物語は「青脂(голубое сало=水色の脂身)」と呼ばれる物質を中心に展開する。これは薄青い光を発する特殊原子構造を持った物質で、その属性のひとつはゼロ・エントロピー、すなわち外部環境に関わらず定温を保つという点にある。これは超絶縁体としての機能を意味し、超伝導体との組み合わせによって、永久エネルギー機械に利用できる(ここに「熱力学の第4法則」が働くらしい)。もちろん他にもこの物質の多様な用途がほのめかされている。

 青脂の産出法は限定されている。すなわちまずロシアの作家たちのクローンを作成し、彼らに執筆させた後、仮死状態になったその肉体に、ライトブルーの脂身が蓄積されるのを待つのである。

 青い脂の書評より

 

我々がターゲットにしているローエンドFPGA(デバイス)で、高速に実行されるCNNモデルの産出法は限定されている。すなわちまず効率的なネットワークを作成し、量子化されたネットワークで、精度低下を抑えたパラメータが学習されるのを待つのである。

 

という、すごく手間のかかるアプローチを行なっているところから由来しています

 

今回リリースしたBlueoilで重要なポイントは以下の3点です。

 

- 極小量子化と相性がよいネットワークが既に搭載されており、ユーザーは自分でネットワークを定義する必要がない

- 極小量子化や各種データオーグメンテーションなどの機能も実装されており、学習データだけ用意すればよい

- 学習したモデルを変換して、FPGA(Cyclone V)を使って極小量子化したニューラルネットワークを高速に実行することができる

 

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*内部ではこんな感じのフローで動いてます

 

では、なぜこの手間がかかり難易度が高いtool chainを公開するに至ったのか

開発の背景や思いなどを書いていければと思います

 

そもそも我々はなにもので、どこに向かっているのか

LeapMindという会社は「人類の機能を拡張させ、より豊かな世界を実現させる」ために存在しています

 

機能拡張とは、知覚・知見を拡張すると定義しています

機械が人間の機能を拡張することで、人間がやらなくてもいいことを機械が代価し人間が本来やるべきことに時間が使えるようになることで、結果より豊かな世界が実現するものだと信じています

 

 こう書くとなんだか「AI(Artificial Intelligence)」みたいな感じに聞こえるかもしれないですが、我々が目指すべきところは「IA(Intelligence Amplification)」に近い考え方です

 

AI=人間の知能の再現

IA=人間の知能の補完やサポート

 

そしてこの機能拡張されたものがばら撒かれると、それが集合知として真の人間のサポートが出来るシステムが完成するものだと考えます

 

我々は「DoT(Deep Learning of Things)」あらゆるものにディープラーニングをばら撒きたいというミッションのもと活動しております

 

今後もこのミッションのもと、人類の進化の発展のために貢献していきたいと思います

 

なぜオープンソース化をするのか

そもそもオープンソースとは

 ソフトウェアのソースコードへのアクセスが開かれている(ソースコードが公開されている)ことを示すのではなく、オープンソース・ソフトウェアの配布条件として完全に従うべき事項を示している。オープンソースの定義では、ソースコードを商用、非商用の目的を問わず利用、修正、頒布することを許し、それを利用する個人や団体の努力や利益を遮ることがないことが求められている。 

wikipediaより

 というように本来会社の競争の源泉であるテクノロジーオープンソース化することは非常にリスクが高いように見えます

 

ところがGAFAGoogleAmazonFacebookApple)に代表されるように世界のイノベーティブな企業の大部分は自社技術のオープンソース活動を行なっております

 

これは日本ではあまり馴染みがない感覚だと思いますが、共通するのは「人類の発展に貢献して、よりよい世界をつくる」というミッションを持っていることにあるのかと思います

 

我々も同じ気持ちの中で、今回のオープンソース化に踏み切りました

 

ライセンスはApache License 2.0で公開します

詳細は以下にまとめてます

Blueoil 公式サイトURL: https://blue-oil.org/

 

より多くの方々にお使いいただくことで、従来は技術的に困難であった小さな機械やロボットなど、様々なエッジデバイスへのディープラーニング技術の導入が可能になり様々なシーンで人間を手助けする機械が増えるはずです

 

我々が技術貢献をすることでよりよい世界が実現できることを願っております

 

最後に

LeapMindという会社はまだまだ小さな新興企業ではありますが、これからも破壊的イノベーションを起こすような活動をしていきたいと考えております 

今後も革新的な技術開発リリースを出していきますので、応援いただけると嬉しいです